03/03/2026
【自転車を捨てる理由の変容】
かつて、自転車が1万円以下の激安で販売されていた時代がありました。量販店では目玉商品として扱われ、ひどい時には5,000円なんてことも。その値段では、まさに直すより買い替えた方が安い。その結果、国産自転車メーカーは次々と倒産、放置自転車が社会問題となり、使い捨ては当たり前、費用をかけて直すなんて馬鹿馬鹿しい。そんな風潮に耐えかねて脱サラし、自転車を売らない修理と雑貨のお店を開業したのが12年前です。
それから時は流れ、今や、電動アシスト自転車が随分と普及しました。「もう普通の自転車には戻れない」「生活必需品だ」、そんな声が四方から聞こえてきます。
一方で、その便利さが魅力的な電動アシスト自転車の台頭と引き換えに、静かに街から姿を消しているのが電動アシストではない「自転車」です。新規購入に伴い、それまで乗っていた自転車を処分しているからですね。即ち、「電動アシスト自転車」が増えれば増えるほど、それだけ「自転車」が反比例のように減っていくトレードオフ状態に近いのです。
実際、ここ数年で「電動に買い換えるから自転車を処分して欲しい」という依頼が目立って増えています。捨てるくらいならと当店では引き取って整備し、代車として使ったり、必要としている人に使ってもらったりしていますが、数が多すぎて追いつかなくなってきました。
つまり、時の移り変わりと技術の発展・進歩と共に、自転車を捨てる理由(判断基準)が、「買い替えた方が安いから」という単純なコスパ重視から、「もっと楽に」という便利さ重視へと変わってきたのです。
某大手メーカーの最新の自転車カタログを見ると、電動アシストなしの車種は、1車種のみ。子供乗せはもちろん、スポーツ車や通学車も電動アシスト付きになってしまいました。もはや自転車カタログと言うより電動アシスト自転車カタログと言った方が実態に近い。良い自転車を作っていただけに残念ですが、企業としては、売れない自転車よりも売れる電動アシスト自転車、市場のニーズを優先するのは当然のことでしょう。
この勢いでは、今ある「自転車」のほとんどが「電動」に取って代わられるのではないかと恐怖すら感じてしまいます。
電動アシスト自転車やそれに乗っている人を批判したいのではありません。坂が多い地形に住んでいる、仕事でも使うなど、実際に必要としている人がいて、その恩恵を受けているのも理解しています。また、科学技術の進歩を否定するつもりもありません。
ただ、「もっと便利に」が、今ある自転車を捨ててまで買い換える理由になってしまうのは、行き過ぎかなと思うのです。僕がお伝えしたいのは、今一度、電動ではない「自転車」を見直してみませんか?ということです。
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