05/06/2026
『Dutch Lily Days2026プレスツアー2日目』
2日目の訪問先
1. Boots Flowerbulbs B.V. 130年近い歴史を持ち、プロの切り花生産者に特化した企業です。業界全体が直面する2030年の化学薬品使用禁止に向け、いち早く天敵を利用した「生物学的処理」へ完全に移行しています。化学消毒をやめることで逆に植物の自己免疫力が高まるという哲学を持ち、試験での「失敗データ」も含めて顧客と包み隠さず共有する「リスク共有型のパートナーシップ」が同社の大きな強みです。
2. Bot Flowerbulbs / Lily Company130年の歴史を持つBot社はプロの切り花栽培家向けに特化していますが、注目すべきは「Lily Company」との戦略的提携です。両社は同じ温室を共有しながら、Lily Companyは小売やEコマース、造園向けに年間約4,000万個を生産するという、見事な市場の棲み分けを行っています。設備面では、化学薬品を使わない最新の「ULO(超低酸素)処理」を導入し、施設全体の電力をソーラーパネルで賄うなど、圧倒的なサステナビリティを実現しています。
3. Kapiteyn Group今年で創業100周年を迎える企業で、自社で育種から栽培、貿易までを一貫して行っています。世界的に有名なカラーのトップブランド「Captain Calla」を展開するほか、小売向けに「準備なしですぐに植えられるキット」など革新的なコンセプト商品を提供しています。完全なオーガニック栽培の推進や、使用資材の100%リサイクルなど、環境への取り組みも徹底されています。
4. VWS Export–Import of Flowerbulbs B.V. 世界トップ10に入る球根輸出のリーディングカンパニーです。最新の自動カメラ検品システムを導入し、病害を瞬時に判別してはじくなど、圧倒的な自動化による品質管理が行われていました。同社も予防的な防除として「ULO(超低酸素)処理」を導入しており、消費電力の増大に対しては、施設に2,600枚ものソーラーパネルを設置して電力を自給するなど、合理的な設備投資で競争力を高めています。
【まとめ】業界の共通トレンドと課題への向き合い方
今日の4社の視察から、業界がどのように逆風を乗り越えようとしているかが明確になりました。
• トレンド(高付加価値化と徹底した自動化): 各社は価格競争ではなく、小売向けの革新的なコンセプト商品(独自ブランドや手軽な栽培キットなど)で付加価値を高めたり、高度な画像解析や自動化ラインによって人的ミスを排除し、最高水準の品質を保証したりすることで顧客の信頼を獲得しています。
• 課題と対策(化学薬品規制への適応とエネルギー戦略): 2030年の「化学薬品フリー化」という大きなハードルに対し、業界は天敵を使った「生物学的処理」や、低酸素状態で害虫を駆除する「ULO(超低酸素)処理」といったクリーンな技術へのシフトを急ピッチで進めています。また、こうした最新設備によるエネルギー消費の増大に対しては、大規模なソーラーパネルの導入で「エネルギーの自給自足」を達成しています。
*ULO(超低酸素)処理とは、保管庫内の酸素濃度を極限(約1%)まで下げることで、化学薬品を一切使わずにダニなどの害虫を窒息死させる画期的なクリーン技術です。
どの企業も、厳しい環境規制やコスト高騰を単なる「ピンチ」と捉えるのではなく、他社との差別化や将来の競争優位性(ブランド価値)を高める「チャンス」として大規模な投資を行っている姿が非常に印象的でした。